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群マネ(地域インフラ群再生戦略マネジメント)

▶ 定義

群マネ(地域インフラ群再生戦略マネジメント)とは、自治体の技術系職員が限られる中でも的確なインフラメンテナンスを確保するため、複数自治体のインフラや複数分野のインフラを「群」として捉え、効率的・効果的にマネジメントしていく取組である。

上の一文は国土交通省総合政策局公共事業企画調整課の報道発表(令和7年10月14日)の記述によります。「群マネ」は通称で、正式名称は地域インフラ群再生戦略マネジメントです。2022年12月の提言で方針が示され、2025年10月14日に「群マネの手引きVer.1(群マネ入門超百科)」が公表されました。

01 「群」で束ねる2つの方向

定義文にある「群」には、2つの束ね方が含まれています。

  • 複数自治体のインフラを束ねる(広域連携):隣接する市町村の橋梁をまとめて点検・修繕する、といった横方向の束ね方
  • 複数分野のインフラを束ねる(多分野連携):道路・橋梁・上下水道・公園などを分野横断でまとめて扱う、縦割りを越える束ね方

なぜ束ねる必要があるのか。国土交通省が挙げる直接の理由は、技術系職員の不足です。報道発表資料に掲載された市区町村の技術系職員数(地方公共団体定員管理調査結果 R6.4.1時点にもとづく国土交通省作成)では、技術系職員が0人の団体が435団体(25%)5人以下が約5割を占めます。1つの自治体だけでインフラを適切に管理する体制を維持することが、そもそも難しくなっているという認識です。

2026年8月24日の中間とりまとめ(素案)は、この考え方をさらに拡張して「人の群マネ」という言い方もしています。自治体同士の広域連携に加えて、インフラマネジメントを担う技術者も「群」となって広域的に連携する、という発想です。

02 ここまでの経緯と「群マネの手引きVer.1」

時期 できごと
2022年12月 「総力戦で取り組むべき次世代の『地域インフラ群再生戦略マネジメント』~インフラメンテナンス第2フェーズへ~」で、群マネへの転換が方針として示される
2025年10月14日 「群マネの手引きVer.1(群マネ入門超百科)」を公表。あわせて「群マネ特設HP」を開設
2026年7月21日 閣議決定された「地域未来戦略」に、群マネの推進が明記される(中間とりまとめ素案の記述による)
2026年8月24日 中間とりまとめ(素案)が、モデル地域11件(40地方公共団体)の選定状況と、群マネの手引きの充実を今後の施策として示す

手引きVer.1は3つの資料で構成されています。

  • 手引き本編:群マネのコンセプトや実施プロセスなど全6章
  • ダイジェスト版:群マネの基礎知識をコンパクトにまとめたPR資料
  • 付録編:検討支援ツール(現状把握、効果試算、アンケート調査作成等)や、先行事例での協定書・発注図書等のサンプル

注目したいのは付録編に協定書や発注図書のサンプルが含まれていることです。手引きが概念の説明にとどまらず、実際に契約を交わす段階の文書まで用意されているのは、群マネの実行を阻んでいるのが理念ではなく実務だという認識の表れといえます。

03 普及はまだ約1割─何が壁になっているか

中間とりまとめ(素案)に添えられた地方公共団体アンケートによれば、群マネの取組は約1割の機関・部署での実施・検討にとどまっています。実施・検討していない理由として挙がったのは次のとおりです。

  • 「責任の所在が不明確」:複数の主体で束ねたとき、誰が最終的な責任を負うのかが決めきれない
  • 「相談者の不在」:そもそも誰に相談すればよいのか分からない
  • 町・村では「予算がない」が多く、「財政・技術支援」や「メリット・インセンティブの明確化」が国に求められている

同じアンケートでは、包括的民間委託の活用も約1割にとどまり、「予算が確保できない」「検討する人員不足」が理由に挙がっています。束ねる仕組みを検討すること自体に人手が要るという循環が、普及の壁になっている構図です。素案はこれを受けて、責任分担の明確化、性能規定によるインセンティブの付与、長期契約における履行保証といった課題を検討したうえで手引きを充実させるとしています。

04 民間の設備保全にとっての意味

群マネは地方公共団体のインフラを対象とした施策であり、民間企業の設備保全に直接適用される制度ではありません。ただし関わり方は2つあります。

1つは、受注する側としての関わりです。群マネは複数自治体・複数分野をまとめて発注する方向を含むため、点検・診断・維持工事を請け負う事業者にとっては契約の単位が変わることを意味します。素案は「地域の維持管理を合理的、効率的に受発注できる仕組み等を検討する」とし、包括的民間委託の活用推進も掲げています。手引き付録編に協定書や発注図書のサンプルが収録されているのは、受注側にとっても実務資料になります。

もう1つは、考え方の借用です。複数拠点・複数工場を持つ企業であれば、拠点ごとに保全を完結させるのではなく、共通設備を横断的に束ねて点検計画・部品在庫・保全要員を管理するという発想は、そのまま群マネの構造と重なります。「責任の所在が不明確」という自治体の悩みも、拠点をまたいだ保全体制を作るときに必ず出てくる論点です。素案が挙げた検討課題(責任分担の明確化、インセンティブの設計、長期契約の履行保証)は、社内の横断組織を設計するときのチェック項目としても使えます。

関連して、インフラマネジメントでは群マネが「統合的マネジメントの構築」の中核に位置づけられています。ストックマネジメントが「1つの管理者が自分の施設群をどう回すか」だったのに対し、群マネは管理者そのものを束ねる点が新しいところです。

担当者が明日からできること
  • 公共案件に関わるなら特設HPを見ておく:手引き本編・ダイジェスト版・付録編がまとめて公開されています。付録編の協定書・発注図書サンプルは、発注側の意図を読むうえで受注側にも有用です。
  • 正式名称を押さえる:「群マネ」は通称です。提案書や社内資料では初出で「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」と書くと誤解が生じません。
  • 自社の複数拠点に当てはめてみる:同種設備を持つ拠点をまたいで点検計画・予備品・要員を束ねられないか。束ねられない理由が「責任の所在」なら、それは自治体が挙げた課題と同じです。

よくある質問

Q. 群マネと包括的民間委託は同じものですか。

A. 別のものです。群マネは複数自治体・複数分野のインフラを「群」として捉えてマネジメントする考え方であり、包括的民間委託は複数の業務をまとめて民間事業者に委託する契約方式です。中間とりまとめ(素案)では、どちらも「統合的マネジメントを構築するための取組」の中で並べて挙げられており、群マネを進める手段の1つとして包括的民間委託が位置づけられる関係にあります。

Q. 民間企業が群マネに参加することはできますか。

A. 群マネの主体は地方公共団体等のインフラ管理者ですが、素案は「官民の多様な主体の連携・協働のもと」進めるとし、民間事業者の技術力や創意工夫の活用、包括的民間委託の受注体制の構築を課題として挙げています。したがって受注者・技術提供者としての関わり方が想定されています。具体的な参加方法は案件ごとの公募・入札によります。

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