「i-Construction 2.0」の2年目(2025 年度)の取組成果
「i-Construction 2.0」の2年目(2025年度)取組成果:建設現場のオートメーション化による省人化(生産性向上)
国土交通省が発表した「i-Construction 2.0」の2025年度(令和7年度)における取組成果は、単なる建設業のニュースにとどまりません。これは、将来のインフラを管理・保全する立場にある企業の皆様にとって「点検の自動化」や「データによる維持管理」の標準を知るための指針になり得ます。
本記事では、この発表の内容を設備管理・保全の視点で読み解き、実務にどう活かせるかを解説します。
i-Construction 2.0とは:維持管理を見据えた「オートメーション化」
i-Construction 2.0は、建設現場のあらゆるプロセスを抜本的にデジタル化・自動化し、2040年度までに現場の省人化を3割以上、生産性を1.5倍に向上させることを目指す国の戦略です。
今回の発表(2026年4月)では、その2年目にあたる2025年度の成果がまとめられました。注目すべきは、単に道路を造る技術だけでなく「造った後の点検や管理をどう効率化するか」という点に重点が移り始めていることです。
トップランナー 3本の取組
国が掲げる、省人化・自動化に向けた3本の柱の具体的成果です。
- 自動遠隔施工の実施件数が前年度から倍増、地域建設業での自動化の実装が進展
- 地域建設業における更なるICT施工の普及促進・支援を実施
- ICT施工Stage IIの取組拡大により「建設現場のジャストインタイム」本格実装
- AIを活用した海底測量の効率化、海上工事における自動・自律化施工の取組
- 設計段階の3次元モデルと2次元図面の整合確認方法を要領化
- 3次元モデルを用いた設計と積算のデータ連携(BIM/CIM積算)の導入工種を拡大
- 工事間のスケジュール共有機能を試行開始
- ICTにより新たな品質管理手法を導入(出来形管理から品質管理へ)
- プレキャスト原則適用範囲を一部大型構造物まで拡大
企業のメンテナンス担当者にとって参考になるところ
保全・点検業務に関わる「主な成果」と読み取り
資料から読み取れる、設備管理やメンテナンスに関わる方々が注目すべきポイントは以下の通りです。
成果: 施工管理において「リモート化・オフサイト化」が掲げられ、自動・遠隔施工の実施件数が前年度から倍増しました。
保全への示唆: ICT(ウェアラブルカメラ等)を活用して現場の点検状況を遠隔から確認・管理する手法が、国の推進する「新たな品質管理手法」として明確に位置づけられました。
成果: 3次元モデルと2次元図面の整合確認方法が要領化され、設計から積算までのデータ連携が拡大しました。
保全への示唆: 竣工時のデータを維持管理フェーズで活用するための「データの正確性」を担保する仕組みが整いつつあります。将来的に「デジタル空間で施設の詳細を把握する」ための基盤となります。
成果: 海上工事や海底測量、あるいは自動運転建機を用いた多台数操作などの自動・自律化施工の取組が進展しています。
保全への示唆: 人が立ち入るのが困難な場所や危険箇所の点検・補修において、自動化技術やAIによる効率化技術を転用する技術的背景が示されています。
- データ継承の検討: 施工段階の3次元データ(BIM/CIM)を、将来の保全管理データとして活用・受け入れができる体制を検討する。
- 遠隔管理の導入検討: 資料に示された「リモート化・オフサイト化」の動向を参考に、自社の点検業務におけるICT活用による効率化(移動コスト削減等)を検討する。
- 新たな管理手法への適応: 「出来形管理から品質管理へ」といった管理概念の変化に合わせ、データを基にした客観的な保全判断の仕組みを整える。
まとめ
「i-Construction 2.0」の成果は、建設分野におけるデジタル化・自動化が着実に実装フェーズに入ったことを示しています。これはインフラや設備を少人数で管理し続けるための重要なステップです。
企業の保全・点検部門においても、このオートメーション化の動向を捉えることで、将来的な人手不足への対応と管理精度の向上を両立させる道筋が見えてきます。
キーワード解説
| キーワード | 概要 |
|---|---|
| リモート化 | ICTを活用し、現場に常駐・立ち会わずに遠隔から管理・検査を行う手法。 |
| BIM/CIM | 設計から維持管理まで3次元モデルと情報を一貫して活用する仕組み。 |
| デジタルツイン | 現実をデジタル空間に再現し、シミュレーションや監視を行う技術。 |
| i-Construction 2.0 | オートメーション化により生産性向上を目指す国土交通省の戦略。 |
プレス画像
画像出典: 国土交通省資料(i-Construction 2.0 取組成果概要)