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点群データ(三次元点群データ)

▶ 定義

三次元点群データとは、地形、地物等を表す3次元座標を持つ多数の点データ及びその内容を表す属性データを、計算処理が可能な形態で表現したものをいう。

英語表記は Point Cloud。上の定義は作業規程の準則(平成20年3月31日 国土交通省告示第413号)第361条第3項の条文そのものです。作業規程の準則は測量法第34条に基づく告示であり、点群データは法令上の定義が存在する語です。あわせて押さえるべきは、同準則が処理の段階ごとに呼び名を分けていることです(後述)。

01 定義の3要素

条文は短いのですが、3つの要素が入っています。

要素 意味
3次元座標を持つ多数の点データ 1点1点が x, y, z を持つ。面や線ではなく点の集まりである
その内容を表す属性データ 座標だけでなく、反射強度や色などの属性が付くことが定義に含まれている
計算処理が可能な形態で表現 見るためのものではなく処理するためのデータ。画像や図面とはここが違う

なお同準則は「三次元点群測量」を「三次元点群データ等を作成する作業をいい、三次元点群データを用いた数値地形図データ等を作成する作業を含む」(第361条第2項)と定義し、その方法として地上レーザ測量、UAV写真点群測量、UAVレーザ測量、車載写真レーザ測量、航空レーザ測量、航空レーザ測深測量を規定しています。取得手段は複数あり、どれを使ったかで精度も点の密度も変わります。

02 「点群データをもらった」だけでは、何ができるか決まらない

本ページで最も実務的に重要なのがここです。作業規程の準則は、処理の工程順に4つの呼び名を使い分けています。以下は航空レーザ測量の規定(第556条・第564条・第566条・第571条)による定義です。

段階 名称 準則の定義
1 点群データ レーザスキャンデータと最適軌跡解析データを統合解析し、点群データを作成する作業(=観測されたままのもの
2 オリジナルデータ 点群データから調整点成果を用いて点検・調整した三次元点群データ
3 グラウンドデータ オリジナルデータからフィルタリング処理により地表面の点群データを作成したもの(樹木・建物等を除去)
4 グリッドデータ グラウンドデータから内挿補間により格子状の標高データを作成したもの

国土地理院のマニュアルも、この整理を「作業規程の準則においては、処理工程順に、観測されたままのものを点群データ、地表面の標高との調整が行われたものをオリジナルデータ、地表面以外の標高を除去(これは『フィルタリング』と規定されている)したものをグラウンドデータ、格子状に再配列したものをグリッドデータとしている」と説明しています。

つまり「点群データ」は本来、いちばん手前の生データを指す語です。実務では4段階すべてを「点群データ」と呼んでしまいがちですが、受け渡しの場面では意味が変わります。

  • 樹木や仮設物が消えているかは、グラウンドデータになっているかどうかで決まる
  • 精度が保証されているかは、オリジナルデータとして調整点で点検・調整済みかどうかで決まる
  • そのまま断面や数量計算に使えるかは、グリッドデータやTINに構造化されているかどうかで決まる

発注や受領のときに「どの段階のデータか」を確認していないと、後工程で作り直しが発生します。国土交通省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」も同じ思想で、【計測点群データ(ポイントファイル)】を「多点計測技術を用いて計測した地形や地物を示す3次元座標値の点群データ。…点群処理ソフトウェアなどでのデータ処理前のポイントのデータ」と定義し、不要点を削除して点密度を調整した【出来形評価用データ】と区別しています。

03 精度は「点群データ」という言葉では決まらない

国土地理院のマニュアルは、精度についてこう述べています。「三次元点群データの精度は、測量方法や測量条件、点間隔によって異なり、正確に把握するためには三次元点群データを作成した測量についての理解が必要である」。

準則が定める点検の基準を見ると、その具体性が分かります。たとえば航空レーザ測量の点群データは調整点との比較で点検し、較差の平均値の絶対値が25センチメートル以上またはRMS誤差が30センチメートル以上の場合は、原因を調査のうえ再計算処理または再測等の是正処置を講じることとされています。座標値の単位は0.01メートル位と規定されています。

設備・施設の管理に転用する場合、この点は決定的です。数十センチ単位の精度で管理される地形データと、ミリ単位で見たい設備の変形とでは、要求が2桁以上違います。「点群で3D化した」という言葉だけで用途を決めず、どの測量方法で、どの点間隔で、どの精度基準に照らして作られたデータかを確認してください。

担当者が明日からできること
  • 受け取るときに段階を聞く:「点群データ」なのか、オリジナルデータか、グラウンドデータか、グリッドデータか。この一言で、樹木が消えているか・精度が調整済みかが分かります。
  • 取得方法と点間隔を記録に残す:地上レーザか、UAVか、車載か。精度は方法と点間隔で決まるので、データだけ保管しても後で判断できません。
  • 必要な精度を先に数字で決める:地形の管理と設備の変形計測では要求が桁で違います。「使えるかどうか」は用途を数字にしてからでないと判断できません。
  • 属性データの有無を確認する:定義には属性データが含まれています。反射強度や色が付いていると、不要点の判別や目視確認が格段に楽になります。
  • 形式を確認する:CSV、LandXML、LASなどで出力されます。後工程のソフトウェアが読めるかを受領前に確かめてください。

よくある質問

Q. 「点群データ」は公的に定義された言葉ですか。

A. はい。作業規程の準則(平成20年3月31日 国土交通省告示第413号)第361条第3項が「三次元点群データ」を「地形、地物等を表す3次元座標を持つ多数の点データ及びその内容を表す属性データを、計算処理が可能な形態で表現したもの」と定義しています。作業規程の準則は測量法第34条に基づく告示です。ただし、この定義は公共測量における地形・地物の計測を前提としたものであり、工場設備の3D計測をそのまま射程に置いたものではない点にはご留意ください。

Q. 点群データがあれば、そのまま図面や断面図が作れますか。

A. そのままでは作れません。準則が定める処理工程のとおり、点群データ → オリジナルデータ → グラウンドデータ → グリッドデータという段階を経る必要があります。国土地理院の断面図作成マニュアルも、断面図の作成には「最も精度の高いオリジナルデータあるいはグラウンドデータを使用し、必要に応じて…ブレークラインで補って…TINに構造化することを規定している」としています。点の集まりのままでは、点と点の間の形状が決まらないためです。

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なお、点群データは「いつ・どの方法で・どの精度で取得したか」がセットで残っていて初めて次に使えます。設備や施設の情報と切り離してファイルだけ保管すると、数年後に用途を判断できなくなります。本サイトを運営する有限会社エコニティは、設備台帳・点検・部品管理をまとめて扱える無料の設備管理システム「設備管理の匠WEB版」を提供しています。

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