高さ60m超の煙突、全国444本の約4割に損傷・劣化。熊本地震の倒壊を受けた国の調査が示したこと
この記事の要点
- 令和8年熊本地震(2026年7月28日)で、熊本県八代市の日本製紙八代工場にある高さ60mを超える鉄筋コンクリート造の煙突が倒壊しました。国土交通省は関係省庁と連携して同様の煙突を全国で調べ、10月23日に結果を公表しました。対象は444本で、そのうち180本(40.5%)で損傷・劣化が報告されました[1][3]。
- 築造年が古いほど報告の割合は高く、昭和56年(1981年)5月以前の煙突は250本中136本(54.4%)、平成19年(2007年)6月以降の煙突は46本中5本(10.9%)でした(割合は当社計算)[4]。業種別の本数は、廃棄物処理128本、製鉄87本、製紙61本、化学56本、セメント製造44本、電気30本の順です[3]。
- 国は損傷・劣化への応急的な補修方法を示し、経済産業省と環境省は所管の事業者に補修を要請しました。倒壊の原因は、国土交通省と建築研究所の委員会、日本製紙の被害調査委員会が調べている最中で、原因を踏まえた本格的な対策はまだ示されていません[7][13]。
01
何が起きたのか──倒壊から全国調査の公表まで
2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方の深さ16kmでマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町で震度7を記録しました[8]。八代市にある日本製紙の八代工場では、7月29日14時の時点で工場建屋内に11名が閉じ込められ、7名が救助されたものの5名の死亡が確認されたと、同社は発表しています[11]。7月31日7時30分現在では、亡くなったのは社員6名と協力会社の社員3名の計9名で、工場は操業を停止していると発表されました[12]。
国土交通省と経済産業省は現地調査を行いました。8月18日の国土交通省の事務連絡は、「日本製紙株式会社八代工場内の高さ60mを超える鉄筋コンクリート造の煙突が倒壊する等の被害が確認されています」と書き、同じ形の煙突を持つ事業所への調査を始めると伝えています[6]。国土技術政策総合研究所と建築研究所の現地調査(8月9~21日)の速報は、八代市で高さ80mと70mの鉄筋コンクリート(RC)造の煙突が折れて倒れ、周辺の建築物にも被害が出たこと、高さ110mのFRP製の円筒の頂部が折れたことを報告しています。FRP製円筒は建築基準法上の煙突にあたらないため、速報は「円筒」と呼び分けています[8]。
亡くなった方々の状況と煙突の倒壊との関係は、ここで引いた公表資料には書かれていません。以下では、各機関が公表した範囲だけを扱います。

出典:国土交通省[1][6][7]、国総研・建築研究所[8]、経済産業省[9]、日本製紙[11][12][13]をもとに当社作成
調査の結果は10月23日に公表され、経済産業省と環境省も、所管の事業者に応急的な補修を要請しています[1][9][10]。
倒壊の原因は、まだ分かっていません。 国土交通省と建築研究所は「令和8年熊本地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会」で検証を進めていて、倒壊原因を踏まえた対策は、原因究明の結果がまとまりしだい、あらためて周知するとしています[7]。日本製紙も9月10日に、社外の有識者を委員長とする「被害調査委員会」を設置し、煙突の損傷・倒壊のメカニズムと原因を調べています[13]。いま公表されているのは「同じ形の煙突の現状の把握」と「応急的な補修」までで、原因を踏まえた本格的な対策はこれからです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 高さ60m超のRC造煙突 | 今回の調査の対象。鉄筋コンクリート造で、高さが60mを超える煙突。倒壊した煙突と同様のものとして選ばれた[3] |
| 損傷・劣化 | 調査で報告された主な損傷はひび割れ、コンクリート表面の剥離、鉄筋の露出。主な劣化は腐食、コンクリートの中性化、鉄筋の発錆[3] |
| 中性化 | コンクリートが空気中の二酸化炭素などの影響で性質を変え、鉄筋を錆から守る力が弱まる現象 |
| 応急的な補修 | 本格的な補強・改修までの当面の措置として、国が補修方法の例を示したもの[5] |
| 特定行政庁 | 建築基準法に基づいて指導・命令を行う都道府県や市区町村。今回、国は特定行政庁にも結果と補修方法を周知した[7] |
02
全国444本の調査結果──約4割に損傷・劣化
調査は、倒壊した煙突と同様の「高さ60mを超える鉄筋コンクリート造の煙突」を持つ事業所に、関係省庁を通じて依頼されました。報告を求めたのは、煙突の概要(所有者、所在地、高さ、築造年月)と、損傷・劣化・補強の状況です。報告期日は9月7日で、目視等により確認した結果を様式に記入する形でした[6][16]。調査の結果、煙突を持つことが分かった業種には、9月28日~10月15日に追加の確認も行われています[3]。
結果は、全国で444本。損傷・劣化が報告されたのは180本(40.5%)、報告がなかったのは256本(57.7%)、残る8本(1.8%)は事業者が点検の実施に向けて調整中でした[3]。損傷・劣化があった180本のうち、対策の予定があるのは120本(27.0%)、予定がないのは60本(13.5%)です。過去に補強をした煙突は183本(41.2%)、していない煙突は261本(58.8%)でした[3]。
「点検の実施に向けて調整中」の8本について、国は理由を「点検事業者の手配に時間を要する、点検のために煙突の稼働停止が必要となるなど」と書いています[3]。点検したくても、煙突の下の設備を止めなければ近づけない──設備担当者には身に覚えのある事情です。
築造年が古いほど、報告の割合は高い
国は築造年月を3つの区分に分けて集計しました。区分の境目は、昭和56年6月1日(構造計算の具体の方法を定めた建設省告示が施行)と、平成19年6月20日(煙突の技術的基準を見直した改正施行令が施行)です[4]。
表1 築造年月別の調査結果
| 築造年月 | 総数 | 損傷・劣化の報告あり | 補強あり |
|---|---|---|---|
| 昭和56年5月以前 | 250本 | 136本(54.4%) | 166本 |
| 昭和56年6月~平成19年6月 | 148本 | 39本(26.4%) | 16本 |
| 平成19年6月20日以降 | 46本 | 5本(10.9%) | 1本 |
| 合計 | 444本 | 180本(40.5%) | 183本 |
出典:国土交通省「令和8年熊本地震による被害を踏まえた煙突に関する調査」(参考)[4]。損傷・劣化の割合は当社計算

出典:国土交通省「令和8年熊本地震による被害を踏まえた煙突に関する調査」(参考)[4]をもとに当社作成(割合は当社計算)
最も古い区分では、半数を超える煙突で損傷・劣化が報告されました。一方で、この区分は補強の履歴がある煙突も多く、250本中166本です。ただし、公表された集計には「補強の有無」と「損傷・劣化の有無」を掛け合わせた数字がなく、補強した煙突の状態が良いのか悪いのかは、この資料からは分かりません。築年の古さが倒壊や損傷の原因だと断定できるわけでもありません。原因は調査中です。
03
業種別──どこに煙突があり、何が報告されたか
業種別の本数は、廃棄物処理が128本で最も多く、製鉄87本、製紙61本、化学56本、セメント製造44本、電気30本と続きます。このほかガラス製造10本、製油6本、非鉄金属製錬5本、食品・医薬品等・下水道・その他が各4本、製塩が1本です[3]。
表2 業種別の調査結果
| 業種 | 総数 | 損傷・劣化の報告あり | 補強あり |
|---|---|---|---|
| 廃棄物処理 | 128本 | 24本(18.8%) | 8本 |
| 製鉄 | 87本 | 31本(35.6%) | 55本 |
| 製紙 | 61本 | 36本(59.0%) | 42本 |
| 化学 | 56本 | 25本(44.6%) | 30本 |
| セメント製造 | 44本 | 29本(65.9%) | 29本 |
| 電気 | 30本 | 13本(43.3%) | 1本 |
| その他の業種(ガラス製造、製油など8区分) | 38本 | 22本(57.9%) | 18本 |
| 合計 | 444本 | 180本(40.5%) | 183本 |
出典:国土交通省「令和8年熊本地震による被害を踏まえた煙突に関する調査結果」[3]。損傷・劣化の割合は当社計算

出典:国土交通省「令和8年熊本地震による被害を踏まえた煙突に関する調査結果」[3]をもとに当社作成(割合は当社計算)
割合が高いのはセメント製造(44本中29本)と製紙(61本中36本)、低いのは廃棄物処理(128本中24本)でした。ただし、業種別の築造年の内訳は公表されていないため、業種の違いなのか築年の違いなのかは分かりません。業種ごとの本数には小さいものもあり、傾向として見る程度が適切です。
もう一つ目を引くのは、補強の履歴の差です。製鉄は87本中55本、製紙は61本中42本に補強の履歴がある一方、廃棄物処理は128本中8本、電気は30本中1本でした[3]。国の集計は、これらを「所有者の判断において過去に実施した」補強と書き、主な方法として炭素繊維シートの巻付けや、モルタル・コーキング等の充填を挙げています[3]。
対策の予定がない60本は、廃棄物処理13本、セメント製造12本、製鉄10本、化学8本、電気7本、製紙6本などに分かれます[3]。点検調整中の8本は、製紙5本、製油2本、ガラス製造1本です[3]。
04
煙突は建築基準法でどう扱われているか
ここで、煙突が法律でどう位置づけられているかを整理します。以下は、建築基準法と同法施行令の条文を読んだ当社の整理です。ほかの法令(電気事業法、大気汚染防止法、廃棄物処理法など)や自治体の条例、業界の基準が点検を求めている場合もありますが、本稿ではそれらを確認していません。個別の適用は、所管官庁や特定行政庁に確認してください。
- 高さ6mを超える煙突は、建築基準法の「工作物」として規制を受けます(ストーブの煙突を除く)。建築基準法第88条が、煙突や広告塔などに建築物の規定の一部を準用しています[14][15]。
- 構造の基準は施行令第139条にあります。高さ16mを超える煙突は、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鋼造とし、鉄筋コンクリート造は鉄筋のかぶり厚さを5cm以上とします。高さ60mを超える煙突は、構造計算で安全性を確かめ、国土交通大臣の認定を受けた構造方法を用いることになっています[15]。
- 維持保全は努力義務です。建築基準法第8条第1項は、所有者・管理者・占有者に、敷地・構造・建築設備を「常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と定めており、第88条がこの規定を煙突にも準用しています[14]。
- 建築物の「定期報告」の仕組みは、条文の文言を読む限り、煙突には準用されていません。第88条は、第12条(定期調査・検査の報告)の第1項から第4項を、観光用のエレベーターや遊戯施設などの「昇降機等」にだけ準用しています。煙突などについて準用されているのは、第12条第5項以下の、特定行政庁が報告を求めたり立入検査をしたりする規定です[14]。
つまり、点検の頻度や方法を所有者に定めさせる、建築基準法上の定期報告制度は、煙突には用意されていないように読めます。今回の調査は、この仕組みを使った報告ではなく、国の事務連絡による調査です[6]。損傷・劣化があった場合の応急的な補修も、「要請」として出されました[9]。
05
国が示した応急的な補修
国土交通省は、報告された損傷・劣化を踏まえ、応急的な補修方法の例を示しました。本格的な補強や改修を行うまでの当面の措置で、倒壊原因を踏まえた対策とは別のものです[5][7]。
表3 応急的な補修方法の例(要約)
| 補修項目 | 補修方法の例 |
|---|---|
| ひび割れ(幅が約0.3mm以下で、発生が少ない) | ひび割れ面にV字型またはU字型の溝を掘り、低粘度のエポキシ系樹脂などをパテ状にして充填する |
| ひび割れ(幅が0.3mm以下で、発生が多い) | 溝を掘ってエポキシ系・ポリウレタン系樹脂などを充填したうえで、縦・横に、耐食処理した補強バンドで締め付ける |
| 鉄筋のかぶり厚さを増す/発錆を抑える/中性化の進行を抑える | 耐酸性・耐熱性の大きいセメントモルタルを塗る(損傷の程度により下地用の金網や鉄筋を増す)。さらに耐酸性・耐熱性の大きい仕上げ材を施す |
| 煙突内側保護材の補修 | 表面に付いた硫酸分を、水を使わずにブラシやほうきで清掃し、耐酸性・耐熱性の大きいセメントモルタルを塗る。腐食が著しければ、傷んだ保護材を取り除いて新しく施す |
| 内側の躯体コンクリートと内側保護材の補修 | 損傷した躯体を耐酸性・耐熱性の大きいセメントモルタルで補修し、内側保護材を施す |
| 煙突頂部の切除と改修 | 頂部で躯体も保護材も腐食が著しい場合は、それらを切除し、元の高さまでステンレス鋼の煙突を設置する |
出典:国土交通省「応急的な補修方法」(別紙)[5]をもとに当社作成(文言は要約)
補修方法に「硫酸分」「耐酸性」という言葉が出てくる点に注目してください。国の資料は、煙突内側保護材の表面に付いた硫酸分を、水を使わずに清掃してから補修するよう書いています[5]。内側の保護材は、外から見えにくい部分です。国は調査様式で「目視等により確認の上」報告するよう求めており[16]、見えない部分をどう確かめるかは、各事業者に残された課題です。
なお、国は8月18日の事務連絡で、調査の対象外の煙突(高さ60m以下のものなど)についても、「各所有者の判断において、必要に応じて安全確保のための対応を講じられるよう」求めています[6]。また、損傷の程度に応じて、設計者等への相談や対策の実施を行うよう書いています[6]。
06
誰が誰に、何を求めたのか
調査の結果と補修方法は、所管ごとに分かれて事業者に伝えられました。自社に連絡が届く経路は、所管官庁、業界団体、特定行政庁などに分かれるため、一覧にしておきます。
- 国土交通省(住宅局):8月18日に調査を開始し、10月23日に結果と応急的な補修方法を公表。特定行政庁に結果と補修方法を周知し、事業者の取組状況の把握、補修方法等の相談への対応、必要な指導を依頼した[2][7]
- 経済産業省:電力安全課、鉱物課、金属課、素材産業課、燃料供給基盤整備課が、関連業界を通じて事業者に応急的な補修を要請。取組状況はフォローアップする[9]
- 環境省:一般廃棄物処理施設を所有する市区町村・事務組合と、産業廃棄物処理施設を設置する事業者に、補修等の取組を周知し、応急的な補修等の必要性の確認と、必要な場合の対応を要請した[10]
- 日本製紙:9月10日に被害調査委員会を設置し、損傷・倒壊のメカニズムと原因の究明を進めている[13]
07
工場・プラントの設備担当者への読み替え
今回の調査は、高さ60mを超える鉄筋コンクリート造の煙突が対象です。該当する煙突が自社にあるかどうかで、読み方が分かれます。該当しなくても、国が報告を求めた項目は、そのまま自社の煙突の点検台帳の項目に使えます。
表4 国の調査・要請の項目と、自社設備での読み替え
| 国の調査・要請の項目 | 自社設備での読み替え | 出典 |
|---|---|---|
| 対象は高さ60m超のRC造。対象外の煙突も所有者の判断で安全確保を | 自社と関連会社の敷地にある高さ6m超の煙突を一覧にし、高さ・構造(RC造、鋼造、FRPなど)を記入する。60m超のRC造は、国の調査に報告したかを確認する | [6] |
| 報告項目は所有者・所在地・高さ・築造年月 | 築造年月を、昭和56年5月以前、昭和56年6月~平成19年6月、平成19年6月20日以降のどこに当たるか確認し、古い区分から優先して見る | [4][16] |
| 損傷はひび割れ・表面剥離・鉄筋の露出、劣化は腐食・中性化・鉄筋の発錆 | 点検の着眼点をこの6つにそろえる。目視で確認できた範囲と、できていない範囲(内側、頂部など)を分けて記録する | [3][16] |
| 補強状況(炭素繊維シート巻付、モルタル・コーキング等の充填) | 過去の補強の内容・年月を記録し、補強後の状態は別に確認する。補強があることと、現在の状態が良いことは別の問題 | [3] |
| 点検調整中の8本。理由は点検事業者の手配と稼働停止の必要 | 稼働停止が要る点検は、次の定期修理の計画に載せ、点検事業者の手配を前倒しする | [3] |
| 損傷・劣化があれば応急的な補修を要請。所管官庁がフォローアップ | 補修方法の例を設計者等に見せて対策の範囲と時期を相談し、経過を記録して、所管官庁や特定行政庁への説明に備える | [5][6][9] |
当サイトの別記事「年間1万件を超える道路陥没が映すもの」では、国がインフラの点検にも「メリハリ」をつける方向を示したことを整理しています。重点を置く対象を先に決めるという考え方は、煙突のように数が少なく影響が大きい設備にも当てはまります。
まとめ
今回の調査で、高さ60m超のRC造煙突は全国に444本あり、約4割に損傷・劣化が報告されたことが公表されました。煙突は建築基準法の定期報告の対象になっておらず、点検の頻度や方法は、制度上は所有者の判断に委ねられている面が大きいと読めます。築造年が古い区分ほど報告の割合は高く、業種によって補強の履歴にも大きな差がありました。
倒壊の原因は調査中で、原因を踏まえた本格的な対策は、まだ示されていません。いま設備担当者にできるのは、自社の煙突が調査の対象だったか、どんな報告をしたかを確認し、築造年・構造・補強・点検の履歴を1枚の台帳にまとめ、見えない部分をどう確かめるかを決めておくことです。原因究明の結果が出たときに、すぐ見直せる状態にしておくことが、いちばんの備えになります。
- 自社の煙突を一覧にする:自社と関連会社の敷地にある高さ6m超の煙突を、台帳・図面から拾い、高さ・構造・築造年月を記入する。高さ60m超のRC造があれば最優先で確認する
- 国の調査への報告を確認する:8月18日~9月7日の調査や、追加の確認に誰が回答したかを調べ、報告した内容(高さ・築造年月・損傷・劣化・補強)の控えを手元に置く
- 損傷・劣化の報告や発見があれば、設計者に相談する:国の「応急的な補修方法」(別紙)を見せて、対策の範囲と時期を決める。経過は記録に残す
- 稼働停止が要る点検を計画に載せる:煙突の点検で設備を止める必要があれば、点検事業者の手配と停止の時期を、次の定期修理の計画に入れる
- 見えない部分の確認方法を決める:内側保護材や頂部など、目視で確認できない箇所を、いつ・誰が・どの方法で確かめるかを台帳に書いておく
よくある質問(FAQ)
Q. 今回の調査は、法律で義務づけられたものですか?
A. 8月18日の調査は、国土交通省と経済産業省などの事務連絡に基づくもので、建築基準法の定期報告制度を使ったものではありません。10月23日の応急的な補修も「要請」として出されました。条文の文言を読む限り、建築基準法の定期報告(第12条第1項~第4項)は昇降機等にだけ準用され、煙突には準用されていません。他の法令や条例の定めは別に確認が必要です。
Q. 倒壊の原因は分かっていますか?
A. まだ分かっていません。国土交通省と建築研究所の「令和8年熊本地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会」が検証を進めていて、原因を踏まえた対策は、究明後にあらためて周知される予定です。日本製紙も被害調査委員会を設置して原因を調べています。
Q. 損傷・劣化が報告された煙突は、すぐ使用停止になりますか?
A. 今回公表された資料に、使用停止を求める記述は見当たりません。国と所管官庁が求めているのは、応急的な補修です。各所管官庁が今後、取組状況をフォローアップするとされています。
Q. 高さ60m以下の煙突や、鉄筋コンクリート造でない煙突も関係しますか?
A. 今回の調査の対象は、高さ60mを超える鉄筋コンクリート造の煙突です。ただし国は、対象外の煙突についても、所有者の判断で必要に応じて安全確保のための対応を講じるよう求めています。
Q. 補強の履歴がある煙突は、安全といえますか?
A. 公表された集計には、補強の有無と損傷・劣化の有無を掛け合わせた数字がなく、安全とも危険とも判断できません。最も古い区分では、250本中166本に補強の履歴がある一方、136本で損傷・劣化が報告されています。補強の内容と現在の状態を、煙突ごとに確認する必要があります。
Q. 煙突の点検は、どこに相談すればよいですか?
A. 国は、損傷の程度に応じて設計者等への相談を求めています。また、特定行政庁が事業者からの補修方法等の相談に応じることになっています。所管の官庁(経済産業省の担当課、環境省など)にも確認できます。
あわせて読みたい