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改正下水道法(2026年改正)

▶ 定義

改正下水道法(2026年改正)とは、令和8年3月27日に閣議決定された「下水道法等の一部を改正する法律案」による、下水道法および道路法等の改正をいう。

所管は国土交通省 水管理・国土保全局上下水道企画課および道路局路政課。令和7年1月に埼玉県八潮市で発生した、老朽化した下水道管の破損に起因する大規模な道路陥没事故を直接の契機としています。柱は「安全性確保を最優先する下水道マネジメントの確立」「道路地下空間の安全性確保」「下水道マネジメントを支える基盤の強化」の3つです。施行期日は公布の日から6か月以内とされています(後述のとおり、2026年7月26日時点では改正内容は未施行です)。

01 なぜ改正されたのか

法案の概要は、背景と必要性を次のように記しています。

令和7年1月に埼玉県八潮市で老朽化した下水道管の破損に起因する大規模な道路陥没事故が発生。施設の老朽化、職員数の減少等を受け、下水道の事業環境は厳しさを増している状況。下水道管路をはじめとする道路下の埋設物について適切な維持管理が必要。

押さえておきたいのは、この改正が下水道法だけの話ではないことです。陥没は「下水道管の損傷」と「その上にある道路」の両方にまたがる事象であり、改正は下水道法と道路法をセットで動かしています。従来、下水道管理者と道路管理者の間で情報が分断されていた部分に手を入れた、というのが構造上の要点です。

02 3つの柱と、その中身

主な内容(法案の概要より)
1. 安全性確保を最優先する下水道マネジメントの確立
【下水道法】
老朽化に伴う管路の安全性(状態と対策の要否)を評価する診断の基準を法制化(併せて、政令等で定める点検の頻度・方法の基準を見直し)/下水道管理者は診断結果等の維持管理の状況を公表/計画的な改築の実施と収支見通しの公表/改築資金を含む下水道使用料の算定の考え方を明確化/構造について、点検・修繕・改築や災害・事故時の応急措置の容易性(複線化等)を考慮すべきことを原則化/人口減少を踏まえた下水道区域の見直し
2. 道路地下空間の安全性確保
【道路法】
道路占用者と道路管理者との間で「占用物件等維持修繕協定」を締結し、道路や占用物件の点検や修繕等を連携して行うことができる制度を創設/占用許可申請書の記載事項に占用物件の維持管理に関する事項を追加/道路の地下に埋設する占用物件の工事完了時の届出(竣工図等の提出)を義務付け
3. 下水道マネジメントを支える基盤の強化
【下水道法】
法律の目的に「下水道の基盤の強化」を明示するとともに、国の基本方針を創設/都道府県が広域連携推進計画を策定する制度を創設/公共下水道を都道府県が管理できる特例、管理者間の協議により点検・修繕・改築を他の自治体が代行できる制度/災害・事故時における都道府県による復旧工事の代行制度と、関係者連携の責務の明確化/下水道の点検に関して道路管理者の協力が必要な事項を事業計画に位置づけ

実務者の視点では、1つ目の柱の「診断の基準の法制化」と「維持管理状況の公表」が最も重い変更です。これまで点検の結果をどう評価するかは自治体ごとの運用に委ねられる部分がありましたが、基準が法制化されれば判断の物差しが揃い、公表義務がかかることで結果が外から見えるようになります。

03 2026年7月時点の状況 ── まだ施行されていない

本ページの最終更新日である2026年7月26日時点で、この改正内容は施行されていません。e-Gov法令検索が配信する下水道法の現行条文を検査したところ、改正の柱である「基盤の強化」「診断」「広域連携推進計画」のいずれの語も、条文中に存在しないことを確認しています。

また、法律の成立日・公布日・法律番号については、官報や国会の議案審議経過といった一次資料で確認することができなかったため、本ページでは記載していません。施行期日について本ページが述べているのは、法案の概要に記された「公布の日から6か月以内施行」のみです。

※ 定義や条文の内容は、令和8年3月27日に閣議決定された法律案(要綱・法律案本文)に基づいています。国会審議の過程で修正が加えられている可能性がある点にご留意ください。実務で条文にあたる際は、必ずe-Gov法令検索で最新の下水道法本文をご確認ください。

施設管理・保全の担当者が今のうちにできること
  • 点検結果を「公表できる形」にしておく:診断結果を含む維持管理の状況の公表が義務付けられる方向です。手元のメモや個別ファイルに散っている記録は、そのままでは外に出せません。
  • 道路管理者との連絡経路を確認する:占用物件等維持修繕協定や、事業計画への協力事項の記載は、相手方の合意を前提にしています。誰と話をつけるのかを先に把握しておくと動き出しが早くなります。
  • 竣工図の所在を棚卸しする:地下埋設物の工事完了時の届出(竣工図等の提出)が義務付けられる方向です。既設分についても、図面が手元にあるか、どの範囲で失われているかを把握しておく価値があります。
  • 改築の収支見通しを描き始める:計画的な改築の実施と収支見通しの公表は、単年度の予算折衝とは別の作業です。使用料の算定の考え方も明確化されるため、早めに資料を揃えておくと議論が進みます。

よくある質問

Q. この改正で、点検の頻度は変わりますか。

A. 法案の概要は、安全性を評価する診断の基準を法制化することと併せて「政令等で定める点検の頻度・方法の基準を見直し」と記しています。つまり頻度そのものは法律本体ではなく政令等で定められるため、具体的な数字は改正後の政令を待つ必要があります。現行制度では、腐食のおそれの大きい管路について5年に1回以上の点検が義務付けられています。

Q. 小規模な自治体でも、すべて自前で対応しなければならないのですか。

A. そこに手当てをしたのが3つ目の柱です。本来は市町村が管理する公共下水道を都道府県が管理できる特例や、管理者間の協議により点検・修繕・改築を他の自治体が代行できる制度が創設されます。加えて、都道府県が広域連携推進計画を策定する制度も設けられます。単独で抱えきれない事務を、広域で分担する道筋が制度として用意されるということです。

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