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機械保全技能士

▶ 定義

機械保全技能士とは、職業能力開発促進法に基づく国家検定である技能検定の「機械保全」職種に合格した者が名乗ることのできる称号である。

技能検定は「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」であり、合格者には厚生労働大臣名(特級・1級・単一等級)または都道府県知事名(2級・3級)の合格証書が交付され、「技能士」と称することができます。機械保全職種は厚生労働大臣指定試験機関である公益社団法人日本プラントメンテナンス協会(JIPM)が2015年度から実施運営しています。

01 等級と作業 ── どれを受けるかを先に決める

機械保全は特級・1級・2級・3級の4等級で実施されます。さらに特級を除く各級では、選択作業別に試験が実施されます。組み合わせは次のとおりです。

選択作業 特級 1級 2級 3級
機械系保全作業 作業区分なし
(1つ)
電気系保全作業
設備診断作業

=実施あり/=実施なし

注目すべきは設備診断作業に3級が無い点です。振動・温度などの測定値から設備の状態を判定する領域は、初級技能者の段階では扱われていないということになります。CBM(状態監視保全)予知保全を担う人材を育てたい場合、まず機械系または電気系で2級を取り、そのうえで設備診断作業に進む形が制度上の道筋になります。

各等級が想定する技能の程度は、技能検定制度全体で次のように定められています。

  • 特級:管理者または監督者が通常有すべき技能の程度
  • 1級:上級技能者が通常有すべき技能の程度
  • 2級:中級技能者が通常有すべき技能の程度
  • 3級:初級技能者が通常有すべき技能の程度

02 受検資格は実務経験年数で決まる

受検資格は、機械保全に関する業務に就いていた実務経験年数(過去の実務経験も含む)で判定されます。

等級 受検に必要な実務経験年数
特級 1級合格後5年以上
1級 7年以上
2級 2年以上
3級 0年(問わない)

実務経験年数は学歴や職業訓練受講歴などに応じて短縮されます(短縮要件の一覧は公式サイトでPDF公開)。また実務経験年数を証する書類の提出は不要とされています。

「機械保全に関する業務」の範囲は広い

公式サイトが挙げる業務の例は次のとおりです。自分が該当しないと思い込んで受検を諦めるケースがあるので、確認しておく価値があります。

  • 機械、設備の保全計画の作成
  • 機械、設備に生ずる欠陥の発見
  • 機械、設備の異常時の対応
  • 機械、設備状況の測定データの収集
  • 機械、設備状況の測定データの解析および判定
  • 機械、設備の保全方法の決定および処置

さらに「機械保全に関する管理監督、訓練、教育、研究に関する業務、入職後の訓練・教育を受けた期間も含まれます」とされています。工具を握る作業だけが対象ではない、ということです。

03 試験の方法と、免除制度

試験は学科試験と実技試験で構成され、両方に合格することで「技能士」と称することができます。合格基準は厚生労働省が定めており、「100点を満点として、原則として、実技試験は60点以上、学科試験は65点以上」です。

等級 学科試験の出題形式 試験時間
特級 五肢択一式 50問 120分
1級(全作業) 真偽法 25問+四肢択一式 25問 100分
2級(全作業) 真偽法 25問+四肢択一式 25問 100分
3級(全作業) 真偽法 30問 60分

いずれもマークシート方式です。特級の実技試験は「計画立案等作業試験」10課題・150分で、現物を扱う実技ではなく計画立案の能力を問う形式になっています。管理者・監督者向けという位置づけがここに表れています。

一方だけ合格しても無駄にならない

実務上いちばん重要なのが免除制度です。学科試験または実技試験の一方だけに合格している場合、合格している作業に限り、合格等級以下の当該試験が免除されます。しかもこの一方合格の効力に期限はありません(特級のみ合格後5年以内)。

さらに機械保全技能士(技能検定合格者)は、合格した作業以外の作業においても、合格等級以下の学科試験が免除されます。たとえば2級 機械系保全作業の技能士は、電気系保全作業・設備診断作業の3級・2級の学科試験が免除されます。作業を横に広げるコストが低く設計されているということです。

04 制度全体のなかでの位置づけ

技能検定は昭和34年に始まり、中央職業能力開発協会によれば令和8年3月3日現在で、都道府県が実施する職種が111職種、指定試験機関が実施する職種が22職種あります。機械保全は後者にあたり、JIPMが厚生労働大臣指定試験機関として実施しています。

そのなかで機械保全の存在感は小さくありません。JIPMは「技能検定全職種のなかで2番目に多い受検者数で、モノづくり分野の職種の中では1番多く受検いただいています」としています。

厚生労働省「技のとびら」は機械保全について「工場の設備機械の故障や劣化を予防し、機械の正常な運転を維持保全するために重要な仕事で、各種製造現場の共通的な作業です」と説明しています。特定の業種に閉じない、横断的な技能として位置づけられているということです。

保全部門の育成担当が押さえておくこと
  • 3級は実務経験0年で受けられる:新入社員や配属直後のメンバーでも受検できます。育成の入口として使いやすい設計です。
  • 一方合格に期限が無いことを伝える:学科だけ、実技だけの合格でも効力は消えません。「今年は学科だけ狙う」という計画が立てられることを知らないまま諦める人がいます。
  • 作業の横展開は学科免除で安くなる:機械系の技能士が電気系・設備診断に広がるとき、同等級以下の学科は免除されます。多能工化の計画を立てる際の実質コストはここで変わります。
  • 設備診断作業は2級から:状態監視・予知保全を担う人材を育てたいなら、3級では設備診断作業を選べない点を織り込んでロードマップを組んでください。
  • 実務経験の範囲を広く伝える:データの収集・解析・判定、保全計画の作成、管理監督や教育の期間も実務経験に含まれます。受検資格が無いと自己判断している人が現場にいないか確認してください。

よくある質問

Q. 機械保全技能士は民間資格ですか、国家資格ですか。

A. 国家検定制度に基づく称号です。技能検定は職業能力開発促進法に基づき、「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」として実施されています。合格者には厚生労働大臣名(特級・1級)または都道府県知事名(2級・3級)の合格証書が交付されます。試験の実施運営を担っているのは公益社団法人日本プラントメンテナンス協会ですが、これは厚生労働大臣が指定した試験機関としての立場によるものです。

Q. 実務経験年数を証明する書類は必要ですか。

A. 公式サイトは「実務経験年数を証する書類の提出は不要です」としています。実務経験年数の算出方法は「機械保全に関する業務に就いた日から受検申請最終日まで」で、特級の「1級合格後」については1級合格日の翌日から起算します。なお受検資格の判定に迷う場合は、公式サイトに受検資格判定の機能が用意されています。

なお、受検資格として挙げられている「測定データの収集」「測定データの解析および判定」「保全方法の決定および処置」は、いずれも記録が残っていて初めて技能として蓄積されます。個人の経験にとどめず組織の資産にするには、設備ごとに履歴が追える状態が前提になります。本サイトを運営する有限会社エコニティは、設備台帳・点検・部品管理をまとめて扱える無料の設備管理システム「設備管理の匠WEB版」を提供しています。

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