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省力化指数

▶ 定義

省力化指数とは、設備導入によって削減される業務時間のうち、どれだけが正味の削減になったかを示す比をいう。

省力化指数= [(設備導入により削減される業務に要していた時間)-(設備導入後に発生する業務に要する時間)] ÷(設備導入により削減される業務に要していた時間)

法令で定義された用語ではありません。独立行政法人中小企業基盤整備機構が公開する「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」の公募要領が1-2(2)で定めた、制度上の指標です。公募回ごとに要領が改訂されるため、申請時は該当回の要領で式と要件を確認してください。本ページは第8回公募(2026年8月発行・2026年9月18日改訂)の記載によります。

01 分母と分子をどう作るか

式は単純ですが、実務では2つの項の作り方がすべてです。

項 公募要領の記述と、実務での中身
分母
(いまの時間)
「設備導入により削減される業務に要していた時間」。要領は「既存業務の削減業務の時間を組み込むことが基本」としています。設備保全でいえば、巡回点検の所要時間、計器の読み取りと転記、異常時の駆けつけと復旧、帳票の作成と回覧にかかっている時間です
引かれる時間
(新しい時間)
「設備導入後に発生する業務に要する時間」。導入した設備そのものの充電・清掃、消耗品の交換、ソフトウェアの更新、故障時の切り分けと代替手段の確保といった、これまで存在しなかった業務がここに入ります

分母だけを大きく見積もり、引かれる時間を小さく置けば指数は高く出ます。しかし後述のとおり、審査は数値そのものではなく算出根拠の妥当性を見ます。導入後に発生する業務を書いていない計画は、そこで弱くなります。

なお新規出店を行う場合に限り、「新たな業務プロセスで潜在的・将来的に存在する人手の削減時間」も分母に組み込むことが可能だと要領は定めています。既存拠点の改善では、実績のある時間で組み立てることになります。

02 審査でどう使われるか

公募要領5-1の書面審査は、適格性・技術面・計画面・政策面の4区分でできています。省力化指数が登場するのは技術面で、その評価は次の4観点です。

  • 省力化指数が高い取組であることが示され、その記載内容や算出根拠が妥当か
  • 投資回収期間が短い取組であることが示され、その算出根拠が妥当か
  • 付加価値額の年平均成長率が大きい案件であることが示され、その算出根拠が妥当か
  • 人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)等の導入を行う事業計画か

4つのうち3つが算出根拠を問うています。この審査が見ているのは、アイデアの新しさではなく数字の出どころです。

また要領1-5(2)は、省力化指数を計算した事業計画を策定すること自体を要件に挙げています。指数を出せなければ、そもそも要件を満たしません。

「部分的な省力化」では足りないとされている

計画面の評価には、次の一文があります。

補助事業を実施することにより、部分的な省力化に留まらずに会社全体にシナジーや成果をもたらす取組みとなっているか。具体的には、補助事業で省力化された時間や労働力を高付加価値業務に振り向けることで賃上げにつながるような、会社全体における柔軟なリソースの最適化の観点をふまえた内容となっているか。

省力化指数が高いだけでは足りず、浮いた時間の行き先まで書けているかを見る、という設計です。

03 隣接する指標との関係

同じ公募要領のなかで、省力化指数は他の指標と役割を分け合っています。

指標 定義と位置づけ
省力化指数 時間の比。技術面の審査で問われる
付加価値額 営業利益+人件費+減価償却費。金額で測る
労働生産性 付加価値額÷労働者数。基本要件は年平均成長率4.0%以上
投資回収期間 根拠資料とともに提出することが要件

省力化指数は時間、付加価値額と労働生産性は金額で測ります。時間の削減が金額に変わる筋道を書けるかどうかが、計画の質になります。

設備保全の現場から見ると、この筋道はなじみのあるものです。計画外停止の時間が減れば生産量が増え、緊急対応の外注費と時間外手当が減ります。時間基準保全から状態基準保全への移行を検討するときに積み上げる数字と、ほぼ同じものです。

よくある質問

Q. 省力化指数は国が定めた指標ですか。

A. 法令で定義された用語ではありません。中小企業省力化投資補助事業(一般型)の公募要領が定めた制度上の指標です。ただし同事業は中小企業庁の施策であり、要領は独立行政法人中小企業基盤整備機構が公開しています。公募回ごとに要領が改訂されるため、申請時は必ず該当回の公募要領で式と要件を確認してください。

Q. 導入した設備の保守にかかる時間も計算に入れるのですか。

A. 入ります。式の第2項「設備導入後に発生する業務に要する時間」がこれにあたります。ロボットやセンサーを導入すれば、充電、清掃、消耗品の交換、ソフトウェアの更新、故障時の切り分けといった業務が新たに発生します。この時間は正味の削減から差し引かれます。審査は算出根拠の妥当性を見るため、見積もらずに書いた計画は弱くなります。見積もれるのは、ふだんその設備を見ている保全部門です。

Q. 指数を高くするには、どんな記録が要りますか。

A. 指数を高く見せるための記録ではなく、根拠として示せる記録が要ります。具体的には、業務を細かい単位で時間計測したものです。月間の合計時間ではなく、巡回ルート別の所要時間、計器の読み取り件数と所要時間、故障対応の出動回数と復旧時間といった粒度です。日報に開始時刻と終了時刻の欄を足すだけでも、数か月あれば根拠資料になります。予知保全の検討で必要になる記録とほぼ重なります。

なお、省力化指数の分母は「どの設備の、どの作業に、何分かかっているか」を残していなければ書けません。設備台帳と点検記録が別々に管理されていると、この集計に手間がかかります。本サイトを運営する有限会社エコニティは、設備台帳・点検・部品管理をまとめて扱える無料の設備管理システム「設備管理の匠WEB版」を提供しています。

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