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内水氾濫(雨水出水)

▶ 定義

内水氾濫とは、一時的に大量の雨が降ったときに、下水道などの排水施設で雨水を排除できないこと、または排水施設から河川などへ雨水を排除できないことによって起きる浸水である。

「内水氾濫」は法令用語ではありません。法令では、水防法第2条第1項がこの現象を「雨水出水」と定義しています。国土交通省の「内水浸水想定区域図作成マニュアル(案)」は、「内水」を「水防法第2条第1項に規定される雨水出水を指し」と定義しており、行政の資料では「雨水出水(内水)」と併記されることが多くあります。

01 法律の言葉と行政の言葉

水防法第2条第1項は、雨水出水を次のように定義しています。

この法律において「雨水出水」とは、一時的に大量の降雨が生じた場合において下水道その他の排水施設に当該雨水を排除できないこと又は下水道その他の排水施設から河川その他の公共の水域若しくは海域に当該雨水を排除できないことによる出水をいう。

定義には2つの場合が含まれています。1つは、雨が強すぎて下水道などに雨水が入りきらない場合。もう1つは、川の水位が上がって、下水道などから川へ水を出せない場合です。川そのものがあふれていなくても、川の水位が上がるだけで街なかの浸水は起こりえます。

用語 意味(出典)
内水 水防法第2条第1項に規定される雨水出水を指す(内水浸水想定区域図作成マニュアル(案))
内水浸水想定区域 下水道の排水能力を上回って雨水を排除できなくなった場合、または放流先の河川の水位上昇などで下水道から河川などに雨水を排除できなくなった場合に、浸水が想定される区域の総称(同マニュアル)
雨水出水浸水想定区域 水防法第14条の2に基づき、想定最大規模の降雨を前提に都道府県知事や市町村長が指定する内水浸水想定区域の名称(同マニュアル、水防法)
内水ハザードマップ 内水浸水想定区域をもとに、内水による浸水の情報と避難方法などを住民にわかりやすく示したもの(同マニュアル)

国土交通省の資料によれば、想定最大規模の内水にかかる浸水想定区域の指定制度は平成27年の水防法改正で創設され、令和3年に対象が広げられました。

02 内水のリスク情報は、まだ整備の途中

2026年9月18日に開かれた国土交通省の水災害調査・対策検討委員会の資料は、洪水(外水)と雨水出水(内水)のリスク情報の整備状況を比べています。

令和7年度末時点 浸水想定区域 ハザードマップ
洪水(外水) 100%公表済み 洪水予報河川・水位周知河川で約99%、中小河川で約68%
雨水出水(内水) 39%公表済み(対象 約1,100団体) 32%公表済み

資料はさらに、これまでの内水の取り組みは下水道区域に限られており、区域外では内水浸水想定区域図が作成されていない場合が多いことを課題に挙げています。国は2026年8月24日付で公表・作成を促す通知を出しており、資料には今年度中に約90%が作成・公表される予定と記されています。

03 地図に表れない窪地

2026年8月の千葉豪雨では、浸水想定区域外であった千葉大学医学部附属病院で、地下の排水管やポンプ・電気基板が泥水をかぶって故障しました(同委員会 資料3-1)。国土技術政策総合研究所の現地調査は、地下に浸水した大規模施設について、内水浸水想定区域に敷地の境界が接しているものの敷地内の浸水想定は必ずしも表現されていない場合もあったと報告しています。浸水想定区域図は約2mメッシュの標高データをもとにしており、大規模な施設による局所的な地形の改変までは表現しきれないためです(同 資料3-2)。

工場やビルの管理者にとっての意味は、ハザードマップを「確認したら終わり」の資料にしないことです。地下ピット、機械室、電気室、地下駐車場の出入口など、敷地の中で水が集まる場所は、自社の図面と過去の滞水の記録から補う必要があります。停電と排水の止まり方については、管理運転の用語ページもあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 内水氾濫と、川の氾濫は何が違うのですか。

A. 国土交通省の資料は、河川の洪水を「外水」、下水道などの排水施設で雨水を排除できないことによる浸水を「雨水出水(内水)」として分けて扱っています。内水は、川の堤防が切れたりあふれたりしていなくても、雨が下水道の排水能力を上回ったり、川の水位が上がって下水道から川へ水を出せなくなったりすることで起こります。都市部では短時間の強い雨で発生しやすいのが特徴です。

Q. 自社の敷地がハザードマップで浸水想定区域の外なら、安心してよいですか。

A. そうとは限りません。令和7年度末時点で内水の浸水想定区域が公表されている団体は39%で、下水道区域の外では作成されていない場合が多いとされています。また2026年8月の千葉豪雨では、浸水想定区域外の病院で地下の設備が浸水しました。浸水想定区域図は約2mメッシュの標高データをもとにしているため、敷地内の局所的な窪地までは表現しきれないことがあります。

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