設備保全・メンテナンスの様々な記事をご提供するニュースサイト

用語集トップ GLOSSARY

重要管路

▶ 定義

重要管路とは、事故が起きたときの社会的影響が大きい下水道管路として、ほかの管路より高い頻度と高度な方法で点検・再構築する対象に区分された管路である。

国土交通省の「下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会」が、2026年10月5日に公表した検討とりまとめで示した区分です。2026年10月時点では、法令の用語として確定したものではありません。国の予定では、とりまとめを踏まえた政省令・告示の公布が年内、施行が令和9年1月中です。

01 重要管路に当たる4つの条件

とりまとめは、次のいずれかに当たる管路を重要管路としています。重要管路の上にあるマンホールも含みます。

条件 とりまとめが示す理由
下水処理場から、処理場の直前の最終合流地点までの管路 令和6年9月の国の通知で「急所施設」(その施設が機能を失えばシステム全体が機能を失う最重要施設)とされたもの
流域下水道の管路 同上(急所施設)
管径2m相当以上の大口径管路 全国特別重点調査の対象管路と同様に、大規模な陥没につながる要素と事故時の影響度などから設定
緊急輸送道路の下、軌道の下、河川の下の管路 事故時の影響度などから設定

この区分の背景には「メリハリ」の考え方があります。とりまとめは、すべての管路を同じやり方で点検するのではなく、管路の区別に応じて差を明確につけ、限られた人員や予算の中で施設の安全性を確保するとしています。重要管路以外の管路は、住宅地などに面的に広がる小口径の管路や、末端の取付管です。

02 重要管路の点検

重要管路は、テレビカメラ等ですべて点検(全数点検)し、管路の状態を健全度Ⅰ~Ⅳで診断します。概要資料は、人やテレビカメラによる点検に管厚測定などの定量点検を加えるとしています。頻度は次のとおりです。

箇所 頻度
化学・力学・地盤の3つの弱点がすべて重なる箇所/年間平均の硫化水素ガス濃度が50ppm以上の箇所 3年に1回以上
化学的弱点箇所(腐食しやすい箇所)/力学的弱点箇所(マンホールと管きょの接続部)/地盤的弱点箇所(土砂を引き込みやすい箇所) 5年に1回以上
上記以外 10年に1回以上

直近の詳細点検で健全度Ⅲと診断され、その状態が続いている箇所は、さらに頻度を上げます(10年→5年、5年→2~3年、3年→1~2年に1回以上)。健全度ⅢまたはⅣの異状が見つかった場合は、道路管理者と時期などを調整して、管路に起因する空洞の有無を確かめる空洞調査を行います。健全度ⅠやⅡの場合も、見逃しが無いよう、特性の違う複数の手法を組み合わせて構造上の安全性を確かめるとされています。

なお、腐食のおそれが大きい箇所を5年に1回以上点検することは、とりまとめ自身が「現行の頻度」と書いているとおり、すでにあるルールです。重要管路で新しいのは、3年と10年の区分、全数点検と定量点検、健全度Ⅲでの頻度の引き上げです。

03 直せる構造にする:多重化と維持管理のしやすさ

とりまとめは、重要管路の再構築の柱として次の3つを挙げ、今後100年以上にわたり機能を維持することを目指すとしています。

  • 多重化(リダンダンシー)の確保:既存の施設を最大限活用しても水位を下げられない箇所では、複線化や連絡管などで多重性を確保することを原則とする。水位の目安は、更生工法が実施できる最大の水位である60cm以下
  • 維持管理のしやすさ(メンテナビリティ)の向上:改築の機会に、マンホールの間隔や大きさ、蓋の大きさ、埋設の深さを見直すことを原則とする
  • 要注意箇所への対策:化学的弱点箇所を新設・改築するときは耐硫酸性を有するコンクリート等の管材を使うことを標準とする。化学的弱点と力学的弱点が重なる範囲や、硫化水素ガス濃度が50ppm以上の範囲では、光ファイバーなどのセンサーを設置するなど、異状を検知する措置を講じる

04 「重点点検管路」と公表のルール

重要管路と、重要管路以外の管路の要注意箇所(化学的弱点箇所)を合わせて「重点点検管路」と呼びます。とりまとめは、重点点検管路について、施設配置・診断年月日・診断結果・対策内容を1年に1回以上公表(更新)し、地図にしてインターネットで公表することを必須としています。施設配置は、どの管路が重点点検管路に当たるかを地図上で明示するとされました。

また、道路管理者が道路の安全確保に必要な判断をできるよう、下水道管理者は重要管路の位置、点検結果、健全度Ⅲ・Ⅳの箇所の状況、対策の実施状況などを道路管理者と共有するとしています。

よくある質問

Q. 自分の住む地域のどの管路が重要管路か、分かるようになりますか。

A. とりまとめは、重点点検管路の施設配置を、どの管路が重点点検管路に当たるかが分かる形で地図上に公表することを必須としています。ただし、公表が始まる時期は政省令・告示の内容と施行を待つ必要があり、2026年10月時点では決まっていません。

Q. 工場やビルの構内の排水管も重要管路の対象になりますか。

A. なりません。重要管路は、公共下水道などを管理する自治体などが点検の重点を決めるための区分です。ただし、事故が起きたときの影響が大きい配管を先に決めて点検に差をつけるという考え方は、構内の排水設備の点検計画にも応用できます。

なお、自社の配管でも「止まると影響の大きい系統」を台帳で区別しておくと、点検の優先順位を説明しやすくなります。本サイトを運営する有限会社エコニティは、無料の設備管理システム「設備管理の匠WEB版」を提供しています。

関連する解説記事

下水道管路の点検が「全部同じ」をやめる。重要管路は10年、弱点は3年か5年に1回以上に

検討とりまとめの点検頻度、緊急度から健全度への切り替え、公表のルール、工場・ビルの排水設備への読み替えを解説しています。

改正下水道法が動き出した──「災害復旧の代行」先行施行と熊本地震・点検DXにみる維持管理の現在地

改正下水道法の先行施行と、熊本地震での下水道の応急復旧、管路点検DXを解説しています。

関連する用語:健全度(下水道管路)/改正下水道法(2026年改正)/修繕ギャップ

▶ 用語集トップへ戻る

メールマガジン登録

最新の設備管理ニュースをメールでお届けします

上部へスクロール