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管路経年化率

▶ 定義

管路経年化率とは、水道管の全長に対して、法定耐用年数(40年)を超えている長さの割合である。

法令で定義された用語ではありません。水道行政の広報資料や統計で使われている指標です。本ページの定義と数値は、厚生労働省 医薬・生活衛生局 水道課が2023年3月に作成した広報資料「いま知りたい水道 ─日本の水道を考える─」によります(現在は国土交通省のページで公開されています)。資料は「今後の老朽化の進展の目安となる数値であり、40年で直ちに管路の更新が必要となるわけではありません」と注記しています。

01 「経年化率」と「更新率」はセットで読む

資料は、経年化率と対になる指標として管路更新率を並べています。

指標 定義 令和2年度
管路経年化率 水道管の全長に対する、法定耐用年数(40年)を超えている長さの割合 20.6%(年度末時点)
管路更新率 水道管の全長に対する、1年間に更新された長さの割合 0.65%
基幹管路の耐震適合率 全国の主要な水道管(基幹管路)のうち、耐震性のある管の割合 40.7%

資料は、経年化率が年々増加している一方で「更新率」は年々低下し0.65%にとどまっており、このままだと今後、管路の老朽化がどんどん進んでしまうと説明しています。さらに、管路の耐震化は主に更新にあわせて行われるため、更新の遅れは耐震化の遅れにもつながるとしています。

単純に計算すると、更新率0.65%はすべての管を一巡するのに150年以上かかるペースです。経年化率だけを見ると「古い管がどれだけあるか」しか分かりませんが、更新率と並べると「その差が縮まる見込みがあるか」が見えます。

より新しい数字について

上記は令和2年度の水道統計から算出された数値です。より新しい年度の数字として、衛星データによる漏水リスク診断を提供する株式会社天地人は、日本水道協会「水道統計」令和5年度を出典に、日本の水道管延長の約25.3%にあたる約18.9万kmが法定耐用年数を超えていると発表文に記しています。当サイトは水道統計の本体を確認していないため、同社の発表文の記載として紹介します。

02 40年を超えたら取り替える、ではない

この指標でいちばん誤解されやすいのが、40年という数字の意味です。資料自身が注記しているとおり、40年は老朽化の進み具合を測る目安であって、その年数で管が使えなくなるという意味ではありません。

実際に国の施策は、年数だけで更新の順番を決めない方向に進んでいます。国土交通省の「DXを用いた漏水調査等のスクリーニング技術についての導入の手引き」(令和7年6月)は、埋設された管路は目視で確認できないため事故率や使用年数等の既存情報で更新の優先順位を決めざるを得ず、その順位が実際の劣化状況に合っていない可能性があることを課題に挙げています。そのうえで、AIや人工衛星のデータで漏水や劣化の可能性を評価し、更新の順番を決め直す事例を紹介しています。

設備保全の言葉に置き換えれば、年数で決める時間計画保全(TBM)から、状態で決める状態監視保全(CBM)へ寄せていく動きです。経年化率は、どのくらいの管が「状態を見て判断すべき年齢」に入ったかを示す数字として読むのが実務的です。

03 自社の配管で計算してみる

この指標は公共の水道のためのものですが、同じ式は工場やビルの構内配管にもそのまま当てはめられます。

  • 分母:構内の給水・冷却水・消火などの配管の総延長
  • 分子:布設から一定年数(40年、または自社で定めた目安年数)を超えた配管の延長
  • 最初に分かること:多くの場合、計算の前に「布設年が分からない配管がどれだけあるか」が明らかになります。この延長そのものが、台帳整備の優先順位を示しています

国は、水道事業者が管路情報を紙だけで管理する状態を令和9年度末までになくす目標を置いています(上下水道DX推進検討会 最終とりまとめ、令和7年6月6日)。経年化率が計算できるのは、布設年と延長が電子で分かっている管だけです。ストックマネジメントの出発点が施設全体の状況把握であるのと同じく、この比率も台帳の整備度合いを映す鏡になります。

よくある質問

Q. 経年化率が高い地域の水道は危ないのですか。

A. 経年化率だけでは判断できません。資料が注記しているとおり、40年は老朽化の目安であり、40年で直ちに更新が必要になるわけではありません。管の材質、埋設された地盤、過去の漏水の履歴などによって実際の劣化状況は大きく異なります。国の手引きが、使用年数だけで決めた更新順位は実際の劣化状況に合っていない可能性があると指摘しているのもこのためです。

Q. 最新の数値はどこで確認できますか。

A. 本ページで引用した20.6%(令和2年度末)は、厚生労働省の広報資料が令和2年度の水道統計から算出したものです。水道統計は公益社団法人日本水道協会が取りまとめています。より新しい年度の数値として、令和5年度で約25.3%とする民間企業の発表がありますが、当サイトでは統計本体を確認していません。自治体ごとの管路更新率は、国土交通省「いま知りたい水道」のページで公開されている「あなたのまちの水道は?」の資料からも調べられます。

なお、構内配管の経年化率を出すには、配管ごとの布設年と延長が台帳に残っている必要があります。竣工図と修繕記録がばらばらに保管されていると、この集計に手間がかかります。本サイトを運営する有限会社エコニティは、設備台帳・点検・部品管理をまとめて扱える無料の設備管理システム「設備管理の匠WEB版」を提供しています。

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